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東工大転院体験記(生命理工学院→機械系)

§0.転院とはそもそも何か

 はじめましての方ははじめまして。東工大工学院機械系の"ます"という者です。今回、自分が転院(厳密にいえば転類)に成功したのでそれについて書いていこうと思います。内容は東工大の1年生向けの記事になりますが、東工大を目指す高校生も「転院」という選択肢の存在を知っておいて損はないと思います。気になる方は最後まで読んでみてください。

 この第0節では転院という概念について説明していきますので、もうすでに系所属などのシステムの基本的な知識がある方は読み飛ばしてしまっても支障はないと思います。 

 東工大には"理、工、情報理工、物質理工、環境社会理工、生命理工"の6つの学院(他大学で言うところの学部)があり、入試に受かるとこの中のどこか一つの学院に所属します。東工大は、1年次は教養課程(全学院共通の内容の科目を履修)で、2年から専門科目が始まります。この2年次に進級する段階で、俗にいうところの"進振り"があり、自分が1年次に所属していた学院の中にある系(他大学で言うところの学科)に所属することになります。

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システムに関してはこちら→https://admissions.titech.ac.jp/school/

 

 東工大では、この進振り(以下、系所属)の時に自分が所属していた学院の外にある系に所属することができる枠が少数用意されており、その枠を利用して院外の系に所属することを転院と呼びます。

 具体例を挙げていきます。上の表を見ていただければわかる通り、

 ・生命理工学院⇒機械系

 ・理学院⇒建築学

 ・物質理工学院⇒数学系

などが"転院"に該当します。

 

§1.自己紹介と転院するに至ったきっかけ

 さて、この第1節では自分が転院をすることに決めたきっかけを自己紹介を含めて書いていこうと思います。僕の自分語りに興味ない方は読み飛ばしてしまっても後に支障はないと思います。

 自分は東工大2018年度入学(通称 18)です。自分の代はまだ"類"の制度があるときで、1年生は第1類~7類のどれかに所属し、現在の"転院"は"転類"と呼ばれていました。ただ、すでに類制度が廃止されたこと、また、システムは本質的には変わっていないことを考慮して記事のタイトルは"転院体験記"になっています。

 この話の始まりは大学入試に遡ります。自分は国立前期日程で東工大ではない別の大学を受験したものの、実力が足りず不合格。たまたま東工大の後期日程を出願していた、ということもあり3/13に後期入試を受けに行きました。

 東工大の後期入試は、生命理工学院(当時の第7類)のみの募集で、生命理工は自分が当時興味あった分野とは毛色がかなり違う学院だったのですが、結果的に合格したので進学することに。

 こういった経緯から、第7類に入って2か月くらいは漠然と転類を考えていました。ですが7類の専門科目を受けていく中でアミノ酸たんぱく質などに興味を持ち、考えが一旦変わって生命理工に進もうともしました。ただ、10月くらいに「自分の点数なら転院ワンチャンある」ということを知り、また、航空宇宙工学に興味があったことから機械系を目指すことになりました。何が言いたいかというと、1年次とは、いろいろなことに触れ、自分がこれから何を専門にしていくのかを考え抜く、そんな時期だと思うんですよね。進振りの長所は、受験勉強だけでは見えなかった専門的な分野を齧って自分の将来の方向性を見定めることができる時間が与えられるというところにあるのではないでしょうか。

 

§2.転院のシステムについて

 この第2節では、転院の詳しいシステムについて説明していきます。すでにどのようなシステムで系所属が行われるか知っている方は読み飛ばしても支障はないと思います。

 東工大の公式HPの( https://www.titech.ac.jp/enrolled/life/affiliation/ )、特に( https://www.titech.ac.jp/enrolled/life/affiliation/pdf/31_guide/01_h31_total.pdf )が参考になります。これは類制度が残っている時代の系所属案内なのですが、システム自体の変更はないのである程度の情報はこれを読んで得られると思います。これらのページ自体、いずれ更新されるはずなので必要十分な情報はいずれ掲載されるでしょう。

 まず系所属総得点について説明していきます。系所属総得点は1年次に履修した単位を点数順に並べたときの上位31単位の点数を合計したものをいい、系所属の際はこの"系所属総得点"が高い人から希望の系に振り分けられていきます。つまりいくらやる気があってもこの"系所属総得点"が低ければ希望の系に行けないことになっています。要はただの成績バトルだということです。

 この系所属総得点、「31単位のうち17単位は必修科目からもってくる」というやっかいなルールがあります。つまり、ある人が「必修21単位全て60点、選択科目31単位全て100点」であっても系所属得点は100×31=3100点ではなく、60×17+100×14=2420点になるということです。つまり、必修科目の比重がかなり大きいということになります。また、n単位の科目は(点数)×nで加算されます。なので、単位数が大きい科目で点を取るとリターンが大きいです。

 補足)ここでいう「必修科目」は、立志プロジェクトを除きます。

 必修科目の中身は英語が4単位、文系教養が3単位、理工系教養科目が14単位になっています。このうち最低でも17単位を系所属得点に使うわけですから、捨てられるのは4単位です。捨てられがちなのは英語や文系教養です。その反面、必修の理系科目は捨てられません。

 ここからは転院の時に発動する特別ルールについて軽く説明をしておきます。転院には2段階の点数バトルがあります。一つ目は所属している院を出るとき、二つ目は所属したい系に入る時です。

 まず、一段階目についてです。各学院には転院枠がそれぞれ決まった人数分あり、学院内の転院希望者でその枠を争います。この枠は「院内の系所属有資格者の1割の人数」用意されています。自分の年の生命理工学院(第7類)の系所属有資格者は160人強で、転院枠は16人でした。生命理工学院などの転院志望者が多い学院はこの枠の争奪戦が発生しますが、この枠が埋まることは生命理工以外ではあまりありません。生命理工以外の転院志望者は(よっぽど運が悪くない限りは)ここを心配する必要はないでしょう。

 そして二段階目についてです。各系にはそれぞれの定員に応じた「院外受け入れ枠」が用意されていて、院外から系に所属する人(正確には以下の補足を参照)でこの枠を争います。院外から人気の系や、枠が少ない系はここで点数バトルが発生します。生命理工から出るような人は基本的にここでは負けません(生命理工は出るときのボーダーが高いため)。ですが、生命理工以外の人はここの点数バトルに気を付けておきましょう。

 補足)正確には、系所属では院内からの系所属者を受け入れる「院内所属枠」が先に埋まり、この枠から溢れた院内の人と院外の希望者で「院外受け入れ枠」を奪い合います(ちょっと誤解を招きがちなところなので補足しました)。

 

転類のルールは以上のようになっております。正直分かりづらいですし全部覚えなくても大丈夫かと。ただ雰囲気だけは知っておいた方がいいと思います。

 

§3.系所属得点の稼ぎ方

 この第3節では系所属得点をどう稼いでいくかに関して説明していきます。系所属得点の目安としては、2850点/3100満点確保できれば任意の学院から任意の系に行けるはずです(よっぽど運が悪くない限り)。場合によっては2700点くらいからでも全然可能なはずですが、2850点を確保できるととりあえず安全圏かなぁという印象です。生命理工からの院外所属はもっとないと安全圏とは言えなそうですが…(諸説あり)

 ここからは必修科目や点数が稼ぎやすい選択科目などについて述べていきたいと思います。

 

・必修科目について

 前節で少し触れましたが、高得点が取りにくい英語や文系科目での被害を最小限にしつつ、理系科目で高得点を狙っていく戦略を取るのが一般的東工大生に合う感じがします。ここは個人の問題ですが…

 

・数学(前期/2単位×2)

 ここは絶対に落としてはいけないでしょう。微分積分線形代数の基礎なのでしっかりやれば点は確保できます(教員ガチャでハズレを引かなければ)。単位数も計4単位と重いので頑張りどころです。

・物理(通期/1単位×4)

 前期が力学、後期が電磁気です。教員によっては過去問があるとかなり強いです。担当教員ガチャ要素がそこそこ強いのでそこはお祈りしてください。まあ頑張れば点は来ます。

 ・化学(通期/1単位×4)

 前期が無機化学/有機化学、後期が量子化学/化学熱力学です。これは教員ガチャ要素がめちゃくちゃ強いです。過去問探しましょう。場合によっては系所属得点で足引っ張るような点数来るかもしれません(自分は有機化学でちょっとミスって足引っ張られました)。ここもお祈りです。頑張ってください。

 ・生命科学(前期/1単位×2)

 過去問ゲーです。過去問と似たような出題がされます。試験問題は毎回回収されるはずなのに過去問出回るのおかしいなぁ?生命理工AOの友達に教えてもらいましょう。頑張れば90点くらいは取れます、って言いたいところですが難化したらそうはいかないんですよね、これ。

 ・英語(通期/1単位×4)

 最大にして最凶の難所、ここで捨てられる4単位分全てを使ってしまうと後が無くなるので一応頑張った方がいいかもしれませんね。自分は運よく教員ガチャで当たりを引いたので前期2単位分は救いましたがここで4単位全滅する最悪のシナリオは想定するに越したことはありません。

 ・文系教養(2~4Q/1単位×3)

 当たりはずれがものすごくデカいです。先輩から事前情報をしっかり仕入れてから選択しましょう。まあ興味ある科目あったら迷わずそれを取ればいいと思うんですがね。自分は楽単だと評判だった科目でフルボッコにされたトラウマがあるので安易に楽単と評判の科目を選ぶことを勧めることはいたしません。

 

 以上21単位が必修科目になっています。ちなみに自分が捨てた4単位は英語が2単位と文系科目が2単位でした。参考までに。

 

・選択科目について

 選択科目の中でも稼げる科目はかなり稼げます。ここでうまく立ち回っていけば点数を大きく伸ばすことができます。

 

 ・宇宙地球科学(1Q,3Q/2単位×2)

 内容は1Qで宇宙、3Qで地球です。まず内容がかなり楽しい(主観)です。1Qの方は試験問題問題が難しくあまり点数が稼げません。3Qの方はかなり点数が稼ぎやすく、ちゃんと対策すれば90点以上は来る印象です。単位数も2単位と重めなのでお勧めです。

  ・物理学実験(通期/1単位×2)

 あんま面白くなかったですが95点くらい取れます。レポートは年間通して2回だけ、本当にコスパが良いです。点を稼ぎたい人は取りましょう。

  ・化学実験(通期/2単位×2)

 有機とか無機とかいろいろやります。個人的に楽しかったのはクロムの定性実験とかですかね。レポートが物理学実験より重いうえに点数は物理学実験より来ませんが楽しいので化学好きな人は是非

 ・生物実験(後期/1単位)

 隔週でやる実験です。毎回大レポートの提出があり本当に本当にしんどいですがちゃんとやればその分点数は来ます。レポートの考察をたくさんしましょう。100点来たりすることもありますので頑張ってください。ちなみに内容は普通に楽しかったです。

 ・物理学演習(通期/1単位×2)

 発表2回と全出席とレポート完答で100点が来るはず… とりあえず稼ぎどころです。

 ・数学(後期/3単位×2)

 微積線形代数の比較的難しい内容です。微積はεδやテイラー展開線形代数は次元や固有値などをやります。微積は本当に難しいです。点数を稼ぐにはあまり適した科目ではないです。線形代数はかなり重要な内容なので必修じゃないのが不思議なくらいです。これは点稼ぎ関係なく取っておいた方がいいと思います。

 

 後は情リテとかウェルネスとか環境安全論とかありますが自分は取らなかったので知りません。知ってそうな先輩に聞いてみるといいでしょう。

 

§4.自分の転院を振り返って

 この節では自分の1年を振り返って自分語りするので興味がなかったら飛ばして構いません。

 まずは前期の立ち回りについてですが、このころから転院は少し視野に入れていたものの本格的に考えてはいなかったので点稼ぎはあまり考えず取りたい科目を適当に取ってました。環境安全論とか健康科学概論とか情報リテラシとか取りませんでしたね。前期に関して一番大事なことは必修科目で落とさないようにすることでしょうか。必修は21単位中13単位が前期に集中しています。ここで60点台、70点台を量産すると後期でかなり厳しくなってしまいます。最低でも85点を確保する気持ちで必修の試験に臨んでおくべきかと。この系所属システム自体、前期の必修が足切りみたいなところありますし。

 最終的な前期取得単位数は21単位(立志と最前線除く)、合計点は1908点でした。

 

 夏休み中に前期の系所属合計点の順位が発表されますがこれは本当に意味のないデータなので気にしなくていいです(取得単位数が人によってバラバラなのに合計点数で比べているため)。こんなデータ集計して大学側は何がしたいんですかね~ ちなみに僕は類内60位くらいでした。

 

 さて、後期ですが10月頃に転院の機運が高まってきて、情工、機械、制御、情通、電電などを転院先として検討し始めました。やはり外から見るとわからないことが多いのでその系の先輩に現場の話を聞くことがオススメです。

 後期の立ち回りに関してですが、意識したのは必修で最低限の点数を確保すること、点が稼ぎやすい選択科目(実験など)で徹底的に稼ぐことでしょうか。自分は3Qで取得単位数が31を超え、上位31単位とその合計点がおおよそどれくらいになるかが算出できるようになったので、このころから2900点超えを目標に科目ごとに必要な点数を算出したりし始めました。ただ、90点以上くるという評判だった3Qの文系科目の点数がかなり低かったり、英語でも事故ったりして、結局予想と比べてかなり下振れしました。自分の中では3Qまでで2850点以上(3100点満点)稼ぐのが目標だったのですが、結局2810点で止まり。2900点くらいとらないと安全圏じゃないと思い込んでいた自分はこのへんからかなり焦り始めました。

 そのまま4Qに突入。これまで通り実験系のレポートや必修科目の勉強にかなり時間をかけました。微積演習の小テストで毎回ミスったり、生物実験のレポートがかなりしんどかったり、ミスってバイトのシフトをかなり入れてしまったりで鬱になりかけてましたが部室のスマブラでストレス発散してました。あれがなかったら普通に病んでそうでしたね…

 さて、1月からは系所属本調査が始まりました。自分は悩みに悩んだ末、航空宇宙関連の進路があり、かつ類外受け入れ枠が大きい機械系を選択。7類から出れても系に入るときのの枠から溢れたら本当に虚無だと思ったんでね。

 かなり焦ったまま4Qの試験に入りましたが、とりあえず過去問対策をしっかりやって試験に臨みました。3,4Q通して過去問をくれたみんなには本当に本当に本当に感謝です。ありがとう。

 最終結果は系所属総得点2912点・類内14位で、無事機械系に進むことができました。1年間長かったです。特に終盤は本当にしんどかったです。結局7類からの転院ボーダーは2840点くらいだったようですが…

 

§5.最後に

 ここまで読んでいただきありがとうございました。ここまでの文章が転院を目指す方の一助になれば幸いです。頑張ってください!